姉と私とチケットと

私には四つ歳の離れた姉貴がいるのですが、
この人は我が家で最強です。
とりあえず強いのです。
どういう強さかと申しますと

電話にて
『(セールス)もしもし、●●会社と申しますが』
『(姉)はい』
『ただいま化粧品の販売をしておりまして』
『いりません(ガチャン)』

恐いんです(泣)。
性格強くて理不尽この上なく
言葉がつららのように突き刺さる人なんです。

幼い頃からそんな姉を見てきた私は
姉に逆らってはいけない
という教訓を胸に秘め、今まで生きてきました。

そんな姉から電話があったのは、私が友達とお祭りめぐりをしている時でした。
同じ家に住んでるので、電話なんてめったにかかってきません。
初めの一回は取り損なってしまったのですが、二度目がかかってきたので、
何か大事な用か? と思い電話を取りました。

「もしもし?」
『あ、私だけど』
「うん、どうしたの?」
『二月にさぁ、私サーカス見に行くっつってたじゃん(姉はサーカス好き)』
「あぁ何か言ってたね」
『そのチケット取ったんだけど、席が気に食わないから行きたくないんだよね』
「…………あ、そうなんだ」
『だからさぁ、このチケット一万千五百円なんだけど、特別に一万円で売るから買わない?』





「はぁ?」





冗談じゃありません、誰がそんなもの買えるかってんだ。

「いらないよ別に」
『なんで? サーカスだよ? 見たくないの?』

姉貴は不思議そうな声でいいました。
って言うか、まず考えろよ。
自分が気に食わなくて行きたくない席のチケットが
わずか千五百円値引きしただけで売れると思うなっつーの!
しかも五千円の中の千五百円とか
そういう範囲の値引きではなく
一万千五百円の中の千五百円の値引きぽっちで!!

「別に見たくないし」
『でもすごいんだよ、もう来ないかも知れないんだよ』

じゃあもっと気合いれていい席とりゃ良かっただろうが
というツッコミが喉まで出かかったのですが
逆らうと後が恐いため、飲み込みました。

「っていうかさ、一万円で売ろうっていうのがありえないよ」
『え、高い?』

高いに決まってんだろ、こっちは社会人じゃねぇんだよ!
(心の中で激しいツッコミが展開)

「そりゃ高いよ、一万だもん」

私が言うと姉は一瞬考え込み、そして言いました。

『じゃあ七千五百円』





ケチくせぇ〜〜〜〜!!!!





「だから高いっつってんじゃん!」
『なんで、もう値引きできないよ』
「だって気に食わない席なんでしょ?」
『…………うん』
「つまりいい席じゃないんでしょ?」
『…………うん』
「それを妹(≒貧乏学生)に四千円値引きしただけで売ろうったってムリだから!」
『なんで? 行きたくないの?【怒】』

きました。
姉のお得意、理不尽にキレるの図!!

「だって興味ないんだもん【怯】」
『興味ないって何【怒怒】』
「仕方ないじゃん!!【半ベソ】」

私が本気で拒絶モードに入ったのが分かったのか、
それとも家でゆっくりと思ったのか

『…………そっか…………分かった』

姉は電話での交渉を諦めました。
良かった良かった。

「じゃあもういい?」
『あ、いま隣に友達いるよね?』

ここはお祭り会場なんです皆さん。

「うんいるよ」

ちなみに、その友達と姉は多少顔見知り。

『じゃあその子にも聞いてみて』
「(ムダだと思うけど)分かった。じゃあ切るよ」

ここはお祭り会場。
周りの音がうるさくてお互い大声で喋っていたので疲れたし
一緒にいる友達に悪いし
姉貴の電話代も気になるし
何より早く解放されたくて
私はサクッと切ろうとしました。

『あ、ちょっと待って』
「なに?」
『その子にはチケット一万円って言っといて』
ブチ(←向こうから電話が切れた音)
ツーツーツーツー(←電話の発信音)







この人ありえないんですけど。
この人ありえないんですけど。

この人ありえないんですけど(泣)!!!!








こんな姉もうイヤです。




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